1985年、アメリカ。
ヴィム・ヴェンダースだって、なつかしいな。映画が始まると、本当にあの、青く少しオレンジかかった画面だった。ちょっと調子の悪いときに見る、味のない夢のような世界。深くもぐることも、水面に顔をあげることもできなくて、暗渠を流れているよう。
冒頭の主人公の部屋から見おろした風景、子供たちが遊んでいるごちゃごちゃとした街角、そこにクリーニング屋の蒸気がぷしゅーっと出るところがよかった。わくわくした。
推理小説家が小説に巻き込まれていく。話はなんだか混沌としていて、でもテンポはよくて、やっぱり夢の世界だった。